Masuk「おかえり。遅かったね」
「あぁ、うん。色々あって……」
誤魔化しにならない誤魔化しを呟いて、僕たちは元の座席に着いた。
どうやら夕島くんの歌がちょうど終わったタイミングのようだ。Mrs. GREEN APPLEのケセラセラを歌っていたみたいだけど、なんかイメージ通りすぎるチョイスで特に驚きはない。強いて言えば姫川さんがいないタイミングだったのは残念だったのか良かったのか。
「それじゃ、次は私がいくわね」
須磨さんがマイクを手に取った。画面に映し出される曲名と共に、メロディーが流れ始める。
――って、あれ? この曲って。
「あ、これってゼロ執事のオープニングですよね」
「そうそう! 姫川さん知ってるの!?」
「はい、実は全巻揃えています!」
「本当!? 良かったら一緒に歌おう!」
「はい!」
姫川さんもマイクを手に取って、歌を歌い始めた。ちょうどデュエット系の曲だったので、上手いこと二人で息を合わせていっている。
僕もゼロ執事は見ている。大ファンというほどではないが、話は面白いし、女性のファンが多いけど男性でも純粋に楽しめる作品だ。
姫川さん、さっきアニメの曲が好きって言ってたっけ。だとしたら不思議じゃないけど、須磨さんもこういう作品好きなのかな?
そんなことを考えながら、僕はコーラをチビチビと飲みながら二人の歌を聴いていた。二人ともかなり上手い。姫川さんはあまりカラオケには行かないって言っていたけど、綺麗な地声から形成される歌声が心地よく聞き入ってしまう。
しばらく彼女の歌を聴いていると、横から僕の腕をツンツンと突く感触がした。
――なんだろう?
横を見ると、いつの間にか妃先生が隣に座っていた。
先生はスマホを覗き込みながら、何かを打っている。
みんなが歌に夢中になっている中、先生は画面をこっそりと見せてきて、
『何かあったのか?』
ギクリ――
どうやら先生は姫川さんの様子に違和感を覚えたようだ。
従姉妹同士で付き合いの長い先生のことだ。下手に誤魔化すのは難しいだろう。
僕は観念して、自分のスマホを覗きながらメッセージを打ち込んだ。
『さっき、姫川さんの知り合いらしき人と偶然会いました』
僕は見せると、先生は眉間に皺を寄せながら、またスマホを見せてきて、
『どんな人だった?』
『確か、れいじょうって名前の女子だったかと』
その文字を見た途端、先生の目が思いっきり見開いた。
『ちょっと、外に来てもらっていいか?』
僕はそれに頷いて、「ごめん、トイレ行ってくるね」と言ってこっそりと部屋を出た。
「私もお花を摘んでくる」
先生も一緒に外へと出て行った。
廊下に出て、なるべく隅っこのほうへと僕たちは向かっていった。あまりみんなを待たせてしまうと不信感を抱いてしまうかもしれない。できるだけ早く話を済ませよう。
「すまないな、わざわざ外に出て貰って」
「いえ、いいんです。それで、何かあったんですか……」
「あぁ、それがだな……」
僕は唾を飲み込み、先生の方をじっと見つめた。
と、そのとき――
「二人とも、そんなところで何してるの?」
廊下の向こうから誰かが現れた。
夕島くんだ――
「あ、これは、その……」
「さっきから二人ともゴソコソとスマホで何かやっていたし、同じタイミングで出て行ったからおかしいなって思って」
はぁ……
見られていたのか。
「仕方ない、正直に話すしかないな」
「正直に、って、何が……」
夕島くんの目が怖い。
それ以上に、先生の目がかなり怖い。生徒を叱っているときでもここまで怖い目をすることはない。
「今から話すのは、私たちだけの秘密だ」
「秘密? 一体それは……」
「聖羅のことだ」
「姫川さんのこと?」
夕島くんは声のトーンを落として、僕と一緒に先生のほうを見つめた。
「村野。さっきお前は玲条という名前の女がここにいたって言ってたな」
「あ、はい」
妃先生は小さな舌打ちをして、「マズいことになったな……」
「マズいって、何かあったんですか?」
嫌な予感を抱きつつ、恐る恐る僕は聞いてみた。
「玲条っていうのは、聖羅が前に通っていた学校のクラスメイトだ」
「ええ、なんとなくそれは分かります」
「村野くんはさっきその人と会ったってこと?」
僕は「うん」と返事をして、
「それで、その人って姫川さんになにかしたんですか? もしかして、いじめ、とか……」
「いじめ、か……」先生は深い溜息を吐いた後、「そんな軽い言葉で済ませられるもんじゃない。その玲条は、かなりとんでもない女だ」
「とんでもない、って……」
「
――えっ?
さらっととんでもないことを言い放ったぞ、先生。
脅迫者って、思いっきり――
「……脅迫って、犯罪じゃないですか」
至って当たり前のことしか言えない自分が恥ずかしい。
「当然だ。だがな、事実あの女はそうやってたくさんの生徒から金を巻き上げてきた。あくまで噂だがな」
なんて人だ……
「まさか、姫川さんも……」
先生は黙って頷いて、
「聖羅の名誉のために言っておく。あの子は実際には何も悪いことをしていない。だが、ハニートラップに引っ掛かったんだ」
「ハニートラップ?」
「去年、修学旅行のときの話だ。旅館で夕食後、聖羅は少し気分が悪くなったらしくてな。その後でちょっとしたレクリエーションがある予定だったんだが、聖羅はそれに参加せずに一足先に部屋に戻って休んだそうだ。だが、横になって目を覚ますと……何故か、あの子の服が脱がされていた」
「なっ……」
「それって……」
「そして、横には別のクラスの男子が、裸のまま肩を組んでいた」
――おいおい。
それって、明らかにマズい状況じゃないか!
「脅迫って言いましたよね? まさか、その状況を……」
「あぁ、そうだ。そのタイミングで部屋に入ってきたんだよ、玲条が。そして、スマホの画面を見せてきたと。しっかりと撮られていたよ、旅館の部屋で裸になって抱き合っている二人の姿が。そして、玲条は言ったらしい。『この写真をネットにバラまかれたくなければ、私の言うことを聞け』とな。それで、お金やパシリ同然の行為をいくつか強要された、と言ってた」
――うえっ。
そこまで聞いて、僕はもう吐き出しそうなほど震えていた。
「酷い……」
「最低じゃないですか……問題に出来なかったんですか?」
「彼女の親は地元の有権者らしくてな、どうやらその学校で校長に金を貸していたらしい。そのせいか、校長はおろか他の先生たちも恐れて大事にはできないそうだ。腹立たしい話だよ……」
「そんな……」
「私も本当は訴えたかった。だが、彼女の力は予想以上に大きかった。それに、他校の教師である私がしゃしゃり出たところで無力でしかない。私ができるのは、自分が勤めている学校にあの子を転校できるように手配することだけだった」
――そうだったのか。
うちの学校に転校生が来るなんて珍しいなと思っていたけど、まさかそんな事情があったなんて……
「許せない……」
僕の口から、思わずそんな言葉が発せられた。
「あぁ、私も同感だ。だが、変な気を起こすなよ。今はなんとか聖羅を玲条と出会わせないようにやり過ごすことだけ考えてくれ」
「分かっています」
「だったらいい。お前たちのことは二年間ずっと見てきた。バカなこともたくさんしてきたが、誰よりも思いやりのある友達思いの良い子たちだってことは充分に知っている。だから、今の話を聞いても、どうか聖羅のことを一人のクラスメイトとして、友達として接してくれ」
「……はい」
「勿論です、先生!」
「万が一、玲条と出くわしたら私に言ってくれ。私が、絶対に守って……」
「僕も絶対に守って見せます!」
夕島くんが力強く言い放った。
その目は真剣そのものだった。
やっぱり正義感強いんだな、彼は。僕だって許せないし、あの玲条って人をぶん殴りたい気持ちはある。でも、彼ほどの頼もしい目はできないだろう。
――やっぱり、夕島くんって、姫川さんのことが好きなのかな。
ふとそう思えてしまった。
「あと、今の話は三人だけの秘密だ。何よりも大事なのは、聖羅の心のケアだ。それだけはしっかりと頭に刻んでくれ」
「はい、勿論です!」
「かしこまりました!」
夕島くんに続いて、僕も負けじと力強く返事をした。
正直かなりとんでもない話を聞いてしまった。
僕はじっと拳を握りしめ、姫川さんのことをじっと考えていた。
ここまでの悪役は、僕の小説の中でも出てきたことはない。
今までに湧き上がったことのない感情が、僕の胸中に渦巻き始めていた。
カラオケも一段落して、時刻は夜の八時に差し掛かっていた。健全な高校生なら流石に家に帰らなければならない時間だ。そろそろお開きにしよう、と先生が言い出して、ようやく時刻に気がついた。「えー、それでは、縁も投げ縄ではございますが……」 個室の中で、前守くんがマイクを手にしてこの場を締めようとしていた。「ベタなギャグやらなくていいの。肝心なところで締まらないんだから」「あはは、このやり取りも毎回だよねぇ」「ま、こんなクラスだけどこれからもよろしくな、姫川さん」 マイク越しのせいで、普段野太い前守くんの声が余計に強く響き渡っている。 結局、僕は二曲ぐらいしか歌わなかった。それも、なんとなく知っているレベルの無難なJPOP。一応アニメの主題歌ではあるし、知名度は高い曲だ。ま、僕が歌っている間、みんな大した反応はしなかったんだけどね。それでもいいか、歌うのは嫌いじゃないし。 そんなこんなで、この珍妙な会が終わろうとしていた。「それじゃあ、最後に姫川さんから一言ぉ」 何故かしゃしゃり出てきた宗田さんが、姫川さんにマイクを手渡した。「え、えっと……今日はありがとうございました。色々とご迷惑をお掛けしますが、今後ともよろしくお願いします」 姫川さんは困惑した様子で、かなり普通の挨拶をした。 僕たちは上着を羽織り、鞄を持って外へ出て行った。「みんなからお金は貰ったから、僕がお会計しておくね」 率先して夕島くんがカウンターへ向かっていくのを確認すると、僕たちは一足先に表へ出て行った。 四月とはいえ、夜になれば外はまだ肌寒い。 僕はかじかんだ手を温めながら、他の皆と一緒に夕島くんが出てくるのを待っていた。「それで、姫川さん。どうよ?」 唐突に前守くんが姫川さんに声を掛けた。「どうって、何が?」「夕島の奴、いい男だろ?」「はぁ……まぁ、優しい人、だと思います」 当然、彼女は困惑気味だ。 さっきもそうだし、なんなら今日の会自体もそうなんだけどさ、前守くんって本当に姫川さんを困惑しかさせていないよね? 夕島くんとくっつけたいのも理解できるんだけど、やり方が無理矢理すぎる。「ううん……失敗だったか? いや、まだチャンスはあるか。でも、夕島の気持ちもアレだしなぁ……あぁ、クソっ! もどかしい!」「なにブツクサと独り言しゃべってんの」 寒空の
謔ェ蠖ケ莉、螫「縺」縺ヲ險闡峨�縺ゅ¥縺セ縺ァ繧ょ卸菴懊☆繧句�縺御スソ縺�ィ闡峨〒縺ゅ▲縺ヲ縲√ヵ繧。繝ウ繧ソ繧ク繝シ荳也阜縺ョ荳ュ縺ァ蜃コ縺ヲ縺阪◆繧牙℡縺�ク崎�辟カ「あら、ひっさしぶりー」 盛り上がっている勇者パーティのテーブルに、見知らぬ女が話しかけてきた。「貴方は……」「この国の姫になったんだってぇ? 女王様の養子になったって聞いたけど。アンタみたいな弱小貴族の小娘が、随分と出世したもんねぇ」「ひ、人違いです……」「うっそぉ、貴方、セーラじゃん。あ、ここではセーラ姫って言わなきゃダメだっけ」 嫌みったらしく、そして同席の面々にわざと聞こえるように言ってきた。「おい、アンタ」ルギーが睨みながら席を立った。「顔見知りか知らんが、そんな悪口を言いに来ただけならとっとと向こうへ行ってくれ。酒がマズくなる」「あら、ごめんあそばせ。それじゃあ失礼」 手を振りながら、にこやかに彼女は去って行った。 皆が姫の方を見つめる。彼女は唇を噛みしめて俯いたまま、小刻みに震えている。「腹立つ女だな」「友達ってわけでは……なさそうね」「……すみません、わたくしはお先に失礼します」 セーラ姫は顔を隠し、そのまま席を立って酒場から出て行った。「お、おい……一人で帰って大丈夫か?」「かまわん。表に城の遣いを待機させてある」 今度は一同が女王へ視線を向けた。「女王様、姫の様子が可笑しかったようですが……」「あぁ。それにしても厄介なことになったな……」 女王もまた、怒りに震えているのか顔を強張らせている。「先ほどの女性は一体?」「隣国のさる貴族の一人娘、アーヤだ」「ご令嬢だったのか。いや、だからって先ほどのあの態度はないだろう。女王様も流石に黙っていられなかったんですか?」「仕方あるまい。彼女の家は、隣国でもとびきりの権力を持ち合わせている。父親の鶴の一声で、この国に戦争を仕掛けにくることも容易だ」「そうだったのですか……」「あのう、つかぬことをお尋ねしますが」ロッカが手を挙げて発言した。「先ほどあのご令嬢が『女王の養子になった』とおっしゃっていましたが、もしかして姫様って……」「あぁ、そうだ。彼女は……私の養子として迎え入れた」 それを聞いた途端、勇者一行は目を丸くして驚いた。「実の娘さんではなかったのですね」「そうだ。隣
「おかえり。遅かったね」「あぁ、うん。色々あって……」 誤魔化しにならない誤魔化しを呟いて、僕たちは元の座席に着いた。 どうやら夕島くんの歌がちょうど終わったタイミングのようだ。Mrs. GREEN APPLEのケセラセラを歌っていたみたいだけど、なんかイメージ通りすぎるチョイスで特に驚きはない。強いて言えば姫川さんがいないタイミングだったのは残念だったのか良かったのか。「それじゃ、次は私がいくわね」 須磨さんがマイクを手に取った。画面に映し出される曲名と共に、メロディーが流れ始める。 ――って、あれ? この曲って。「あ、これってゼロ執事のオープニングですよね」「そうそう! 姫川さん知ってるの!?」「はい、実は全巻揃えています!」「本当!? 良かったら一緒に歌おう!」「はい!」 姫川さんもマイクを手に取って、歌を歌い始めた。ちょうどデュエット系の曲だったので、上手いこと二人で息を合わせていっている。 僕もゼロ執事は見ている。大ファンというほどではないが、話は面白いし、女性のファンが多いけど男性でも純粋に楽しめる作品だ。 姫川さん、さっきアニメの曲が好きって言ってたっけ。だとしたら不思議じゃないけど、須磨さんもこういう作品好きなのかな? そんなことを考えながら、僕はコーラをチビチビと飲みながら二人の歌を聴いていた。二人ともかなり上手い。姫川さんはあまりカラオケには行かないって言っていたけど、綺麗な地声から形成される歌声が心地よく聞き入ってしまう。 しばらく彼女の歌を聴いていると、横から僕の腕をツンツンと突く感触がした。 ――なんだろう? 横を見ると、いつの間にか妃先生が隣に座っていた。 先生はスマホを覗き込みながら、何かを打っている。 みんなが歌に夢中になっている中、先生は画面をこっそりと見せてきて、『何かあったのか?』 ギクリ―― どうやら先生は姫川さんの様子に違和感を覚えたようだ。 従姉妹同士で付き合いの長い先生のことだ。下手に誤魔化すのは難しいだろう。 僕は観念して、自分のスマホを覗きながらメッセージを打ち込んだ。『さっき、姫川さんの知り合いらしき人と偶然会いました』 僕は見せると、先生は眉間に皺を寄せながら、またスマホを見せてきて、『どんな人だった?』『確か、れいじょうって名前の女子だったかと』 そ
話は今日の夜に遡る。 急遽企画された歓迎会は、結局学校付近にあるカラオケボックスに決まった。他の店だと高いし、予約も取れなかったから残当なチョイスだ。 で、そんなカラオケ店の個室に、僕たちは集められたわけで――「そんじゃ、みんなグラスは持ったな!」 意気揚々とドリンクバーのグラスを掲げる前守くん。 僕は彼等から少し離れて隅っこのほうに座ることにした。 正直、「なんで?」と思わざるを得ない状況なんだけど……「まだよ。早とちりしないの! 帰ってきてない人がいるでしょ!」「誰だよ、トロくさいのは!」「主役の姫川さんですけどぉ」「あっ……」 赤面して俯いてしまう前守くん。 確かに遅いけど、多分お花を摘みに行っているだけだろう。 それよりも、このメンバー……「思ったより集まらなかったね」「しゃーねぇだろ! みんな部活だとか塾だとかで忙しかったんだから!」「歓迎会ならもう少し日にちを決めてからでも良かったでしょ!」「うるせぇ! こういうのはな、鮮度が命なんだよッ!」「意味がわかんないんですけどぉ」 そういうわけで集まったのが、主役の姫川さんと主催の前守くん、そして夕島くんに、須磨さん、宗田さん。 それに加えて、僕―― 正直、居心地が悪い。黙ったままドリンクバーのメロンソーダをぶくぶくと泡立てても気付かれていない。 さらに、あと一人――「全く、もっと前もって言ってくれたら良い店を安く予約できたのだが……」「先生、こういうのは生徒の自主性を重んじてやるから意義があるんですよ」「適当なことぶっこいてんじゃないの!」「まぁいい。たまには生徒と行くカラオケというのも悪くはないな。よし、久しぶりに歌うか!」「お、先生結構歌う方ですか!?」「まぁな! 手始めにX JAPANあたりを……」「いいですね! 先生の歌、楽しみにしています!」 僕を除く男子二人と先生が、強烈に騒ぎ始めた。端末に歌を予約すると、メロディーが流れ始める。 しばらく僕たちは先生が歌うX JAPANの紅をただ聴いていた。イメージ通りというか、激しい曲を無駄に激しく歌う先生に感服している。「よっ! 先生サイコー!」「カッコいいです! 先生!」 そしてそれを盛り上げようとしている前守くんと夕島くん。まるでどこかの企業の接待だ。この二人は将来上手くやっていける
豁楢ソ惹シ壹→縺玖ィ縺」縺ヲ繧九¢縺ゥ螟ァ謚オ縺昴≧縺�≧縺ョ縺」縺ヲ繧ソ繝蜊倥↓驕翫�縺溘>縺�縺代�蜿」螳溘□繧医� 城下町の外れにある、古びた酒場。 日も大分落ち始めてきた頃、店内は任務を終えたばかりの冒険者たちで溢れかえる。そして、一杯、二杯と酒を飲み干していく度、彼等の喧噪が店内にこだまするのであった。 そんな店に、馴染みの顔と、まったく見知らぬ顔が同席していた。「この度はわたくしをこのような場にお招きいただきありがとうございます」「いえいえ、なんのなんの! ささ、狭くて汚いところですが、どうぞお座りください」「はい、では遠慮なく……わぁ!」 セーラ姫は目の前の山盛りの料理に目を輝かせていた。 決して綺麗とは言えない、木製のテーブル。乗っているのは山盛りの肉と、野菜のスープ。そして、ジョッキに注がれたビール。おおよそ彼女のような高貴な人物にはふさわしくない場所だ。「いいのかしら、お姫様をこんなところに呼んでしまって……」「いいじゃないですかぁ、大勢のほうが楽しいですよぉ」「そうじゃなくて!」「構いませんよ。わたくしこのようなお店は初めてで、寧ろ非常に嬉しいです。こんな料理も見たことがなくて……」「だろだろ!? この店はきたねぇけど料理と酒はウマいんだぜ」「はぁ、全く……」 呆れ気味にリコは頭を抱えていた。そして、ディオとロッカはそんなやり取りに苦笑いを浮かべていた。 事の発端は、女王との謁見の後。 どういうわけかディオはセーラ姫に別室に呼び出されたのだった。それも、他のパーティメンバーには秘密裏に。 怪しいと思ったルギーはこっそりと忍び込んで覗き見していた。が、すぐに城の衛兵に見つかって失敗に終わってしまったのだが。 ――やはり怪しい。 そう考えた彼は、思い切って今回の作戦を実行することにした。 名付けて、 『姫様と勇者様をカップリングさせよう 愛のキューピッド合コン成立計画』 要するに姫と勇者と一緒に一杯飲み明かし、互いの親睦を深めてしまおうという作戦だ。これを聞いたときのリコとロッカは目が点になったのは想像に難くない。「あのねぇ! そんな恐れ多いことできるわけないでしょ」「あ、でも意外といけるかも知れませんよぉ。さっき女王様は『もし頼み事があるならば遠慮なく言うが良い』っておっしゃっていましたし
縺雁ァォ讒倥′螳溘�蜍��→蜃コ莨壹▲縺ヲ縺�◆縺ィ縺九←縺薙�繝ゥ繝悶さ繝。縺�縺薙l繝吶ち繝吶ち縺吶℃縺ヲ荳画オ√§繧��縺�°「あ、貴方は……」 勇者ディオは目の前に現れた女性に思わず見とれてしまった。 髪の色と揃った、淡い桃色のドレス。空いた胸元には銀色のペンダントが光っている。「紹介しよう。私の娘、そして我が国の姫、セーラだ」「皆様、お初にお目に掛かります。そして、勇者様。先ほどは助けていただき、ありがとうございます」「話は姫から聞いているぞ、勇者よ。暴走した馬車を止めてくれたそうだな」「あ、その……いえ、大したことはしておりません。それに、まさか乗っていたのが姫様だったとは知らず……」「何をおっしゃるのですか。貴方は私にとって命の恩人です」 しばらくディオは姫様の目を見つめていた。 彼女の美しい瞳に、思わず吸い込まれてしまいそうになる。「えー、こほん」女王マリアは咳払いを挟み、「そういう話は後ほどするが良い。今はとりあえず、お前たちに褒美をやろう」「あ、はい。ありがとうございます」隍堤セ弱↑繧薙□縺代←菴輔′縺�>�滄≡縺九��縺九∝・ウ縺具シ滓ュヲ蝎ィ縺ィ縺九≠縺偵k縺ョ縺檎ュ九▲縺ヲ繧ゅs縺�縺代←繧ゅ▲縺ィ髱「逋ス縺�b縺ョ縺後≠縺」縺溘i縺薙■繧峨�螳帛�縺セ縺ァ縺企√j縺上□縺輔> ようやく話が進んだ。 相変わらず、大した内容ではないけど、新キャラの姫が登場させられたのは大きな収穫だったと思う。 それにしても、姫川さんか…… 僕は椅子を揺らしながら、彼女のことをふと思い出してしまう。「あれ、絶対夕島くんに一目惚れしているんだろうなぁ」 彼女と夕島くんが見つめ合っていた、あの時間―― 僕たちはずっと、その空気に呑まれてしまった。完全に二人の目はトロンと甘酸っぱい視線を交わしあっていた。「あー、えっと」先生は珍しく戸惑った様子で、「こほん。まぁその話の続きは後ほどやってくれ」「は、はい……すみません」 気恥ずかしそうに再び着席する夕島くん。チラチラと教壇のほうを見ては視線を逸らす仕草を続けている。「あ、そうだ。一応だが、これだけは断っておく。姫川は私の従姉妹だ」「あっ、そ、そうなんですか……」 なんていうか絶妙に微妙な関係だな。反応に困る。これが親子や姉妹だったら「全然似てないじゃん!